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フォードVSフェラーリ感想──ちゃんと面白い人生スポーツ映画 ※ネタバレ

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フォードVSフェラーリ感想──ちゃんと面白い人生スポーツ映画 ※ネタバレ

フォードVSフェラーリ

見た直後の感想

手に汗握った。それなのに、前半ちょっとウトウトしたけど!気難し屋の天才というキャラがあまり好きではなく、前半はスパナ投げて嫌な奴やなあケンよと思っていたが、後半になるにつけ愛着がわいた。26巻くらいの名作スポーツ漫画を2時間に圧縮したような感じだ。ル・マンの前哨戦となるレースとかほとんどハイライトだったが、あそこも詳しく一線描けばかなりのドラマになるだろう。しかし、上映時間は2時間40分。ギリギリの内容を詰め込んだのだろう。劇場には数組子供連れがみられた。子供は車好き親子だらうか。ちなみに俺は全然車好きではない。それでも一応地方ずみである以上足としては使っているのでなんとなく臨場感がました気がする。ミッションとってたらもっとなのかなー。

Story

1965年、5回開催されたル・マン24時間のうち4回勝利したフェラーリ。フェードは自身よりはるかに規模では劣るこのイタリア企業に対抗心を燃やしていた。つぎのル・マンでフェラーリを下し、フェードを一位に!そうして声がかけられたのがル・マンで唯一フェラーリを下したアメリカ人キャロル・シェルビー。しかし、心臓病でレースに復帰できないため引退し車の販売に従事していたシェルビー。実力を認める破天荒な車バカ、ケン・マイルズに声をかけ、フェードチームでフェラーリに勝利することを目指す。

LIFE~人生の話~

カーレースはこの世のスポーツの中でも特にバカな類のものである。

あんなもんぶつかったり事故して死んだり大けがしたりするにきまってるやんけ。

幼少時から特に車に興味のなかった俺は時折父親がル・マンの中継を見ているのを横目に内心「うるせー!」と腹を立てていた。

極端な話、電波が入っていない時間帯の砂嵐と同じくらいのエンタメ性しかないと思っていた。

あと、小林可夢偉って変な名前だなー、とかアイルトン・セナも変な感じするなーとか。

とにかくそれくらいだったけど、今回、楽しめたし実際のカーレースが見たくなったね。

結局、スポーツに人は人生を見ているのだ。特に肉体を直接痛めつけるような類のものについては。

格闘技とかほぼ漫才スポーツと化しているM-1とか、人が人を合法的に争わせて何がしたいかというと、人生が見たいのだ。だって参加者は己が人生(とはいわずとも10年、20年)をその試合やコンテストにほぼ全額ベットしているのだからね。

もちろん信じられないレベルの超人が見たい、とか勝敗予想が楽しいとかいう向きも大きいだろうけど。

で、映画も「人生」を描くことに主眼が置かれることが多い。

スポーツ的な人生の味わい方と映画的な人生の味わい方、どちらもオーバーラップして楽しめた映画体験だった。

2度の「まだだ→まだだ→今だ!」

予告編を見た限りでは二人の破天荒な男の絶対的に不利な状況からのバディもの要素が強いのかと思っていた。

なんとなく、クリスチャン・ベイルがレーサーで、マット・デイモンが技術者で二人が協力する話なのかと思っていたのだ。

しかし、クリスチャン・ベイル演じるシェルビーはすでに引退済みで、レースにでるのはマット・デイモン(ケン・マイルズ)の方だ。

二人の関係は監督と選手と友人のちょうど間にある。

シェルビーもまたル・マン優勝経験を持つかつての天才なわけだが、そんな彼がほかの天才に夢を託すという行動についての葛藤が、別に描かれない。シェルビーはそのあたりのトラウマは克服し、自身と同じ世界でレースを進めることができるマイルズをただ信用している。

誰もがこの映画のベストシーンに数えるだろうと思われるのが、2回繰り返される「まだだ→まだだ→今だ!」である。1度目は作中でマイルスが初めて登場し、見事40組中1位の座を獲得する国内のレース。前方の車を追い越す時のマイルスの思考と、シェルビーの思考が一致する場面である。

二人がレースにおいて同じ世界を見ていること、レーサーが(実際には超高速の車内で一瞬で考えていること)の追体験ができるこのシーンがベタだが、熱い。

そしてその2回目は、最終局面、ル・マンでのフェラーリとのデッドヒート中に再現されることになるのである。

ほかにも冒頭のマイルスのモノローグなど同じセリフが繰り返されることで味わいを持って再現されるシーンが本作品は多い。

めちゃくちゃ眠かったシーン

こんなにべた褒めしつつ、めちゃくちゃ眠くなってしまったシーンが一つある。それは中盤のマイルスと妻が社内で口論するシーンだ。

整備工場が差し押さえになったことでレースは引退だと考えていたマイルスの下にフォードでル・マンをそれも日給200ドルで目指すという好条件の仕事が舞い込む。

しかし、引退を一度は決意したマイルス。再度レースを再開したものか悩む。

しかし、奥さんはレースを辞めた貴方なんて・・・!と怒る。

みたいなシーンだったと記憶する。

そこでなぜかむちゃくちゃ眠くなってしまった。

普通に寝不足だったのも大きいが、このあたりのマイルスの葛藤はカットしてもよかった気がしないでもない。実在の人だからそりゃ色々あったんだろうが、この映画の中のマイルスというキャラはもっと猪突猛進でいいよ。

それよりもレースをもって見せてほしかった。

まとめ

とまあ、眠い時間もあったもののしっかり暑くて映画館でしかできない体験をさせてくれて…とあまり文句のつけようがない。映画館はとても混んでいた。

車で映画館に行かなくてよかったと思う。作中の人物は(行動でさえ)めちゃくちゃ飛ばすのでついつい真似しちゃいそうな気がして怖いのだ。

映画帰りの親子たち、大丈夫だっただろうか。

 

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