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『グッドライアー 偽りのゲーム』感想──黒、雑、ロマンチック ※ネタバレ

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『グッドライアー 偽りのゲーム』感想──黒、雑、ロマンチック ※ネタバレ

見た直後の感想

いい感じの大人の大人ラブコメかと思ったらがっつりノワールコンゲームものだった。
主人公がここまで極悪だと「最後は手ひどいしっぺ返しを食らうんだろうなあ」と想像がついてしまうので途中からは主人公が見逃す落ち度探しの時間になる。
ナチス時代の出来事を絡めたことでちょっと普通の詐欺モノにエッセンスが加えられていると思うが、それにしても後出しの設定が過ぎると思う。
最後にスチュワートが「ドイツでのミスはすまなかった」といったがどういうミスなんだあれは? 作り手側もあそこでいったん謎が解決された封を装って視聴者を目くらまさないとさすがにタネが割れすぎると思ったのだろうが、スチュアートが真相の一端を明かしてしまう理由がわからないので「ミス」というマジックワードでごまかされているようにしか思えない。
イアン・マッケランとヘレン・ミレンのまさに「演技合戦」(随所で悪い決め顔をするのだこれが)はなかなか見事だったが、終盤ちょろっと出てくるアクションはただ見せ場を作るだけに思えた。
あれだけ優勢なベティが暴力に少しでも訴えられるような隙を作るだろうか? 別にスチュワートは手も足も出せずにやられてよかったし、作中で殺人を犯している以上自身もまた同等の刑を科される展開で良かったと思う。
まあそもそも、ロイが爺になってからベティが復讐をするというのもよくわからないのだが。もともとほんとに出会い系やろうと思ってたってことじゃないでしょ?
それもこれも愛憎あい半ばということかもしれないが、それならばベティが過去レイプにあった描写はちょっと倫理的に気持ち悪い感じがする。でもその気持ち悪さとか露悪的な感じがイギリス流のえぐいうまみなのかも。
ラストの余韻(思ったより深いわ)は良かった。
あれは「深く思っている」とかかっているのかな?

Story・背景

『クィーン』でオスカーを受賞したヘレン・ミレンと、2度のオスカーノミネート俳優のイアン・マッケラン(『ロード・オブ・ザ・リング』)。大英帝国勲章を授与され、DameとSirの称号を持つ名優ふたりが待望の初共演。『美女と野獣』の監督、『シカゴ』『グレイテスト・ショーマン』の脚本を手掛けた名匠ビル・コンドンがメガホンをとり、良質なオトナのサスペンスが誕生した。ベテラン詐欺師のロイ(イアン・マッケラン)が出会い系サイトで狙いを定めたのは、夫を亡くしてまもない資産家ベティ(ヘレン・ミレン)。

全財産を騙し取ろうと策略をめぐらす非常なロイを、世間知らずのベティは徐々に信用するようになる。しかし、単純な詐欺だったはずが、物語は思いがけない事態へ発展していく――。

暴かれるのは、人間誰しもが抱えて生きていかねばならない秘密と嘘。偽りに満ちた人生の奥底にある真実とは――。英国が誇る両名優がぶつかり合う、至高のライアーゲームが今はじまる。

公式サイトより転載

DameとSirの称号ってなんやねん

DameとSirの称号ってなんやねんという疑問を抱いた。

Dame=英語における女性の敬称の一つで、ナイトに相当する叙勲を受けた女性に対して使用する

Wikipedia『デイム』より引用

Sir=サー(英語: Sir)は、元来はイギリスの叙勲制度における栄誉称号のひとつで、ナイト(騎士に由来する勲位で、「勲爵士」などと訳される)に与えられる称号である

Wikipedia『サー』より引用

要するに、どちらもナイトに相当する勲章なんだな。

じゃあナイトは何なのか。

ナイト(Knight)は、主にヨーロッパのキリスト教国家において勲章の授与に伴い王室または教皇から授与される、中世の騎士階級に由来した栄誉称号である

Wikipedia『ナイト』より引用

もうざっくり紫綬褒章みたいなものだと思うことにする。

だとすると、市村正親と吉永小百合の演技合戦みたいなものか。

イアン・マッケランは「英国における文化的な象徴(※1)」とみなされており、ヘレン・ミレンは「アカデミー賞・エミー賞・トニー賞の三冠王を達成」(※2)している。

※1…Wikipedia『イアン・マッケラン

※2…Wikipedia『ヘレン・ミレン

まあ上記のイメージでよさそうだ。

豪華俳優によるサスペンスもの、というと日本ではコケるイメージの方が湧きやすいのだが、実際この映画はどうだったのか。

悪かった点:ベティのまどろっこしい復讐計画

正直なところ、話としては結論ありきなんですよ。

ミステリーとしては破綻している。

特に作品の最終的なオチ(結構予想はつく)が確かだとするとベティはどの時点でその計画を固めていたんだ?という疑問がわいてくる。

もう、ネタバレって書いてあるんだからネタバレしていいや。

要するに「ベティはずっと昔にロイに英語を教わっていた子供だった」わけ。で、いろいろあってロイにレイプされた上に一家を破滅させられた。そこでずーっと復讐の機会を狙っていたんだな。そうしてロイに騙されたふりをして引っ掛けるのがラストなんだけど、いや、そんなまどろっこしいことする必要ある?

普通に出会った時点でロイを拉致してボコボコにしたらよかったやん。

ベティは直接手を下すような真似はしたくなかった。だからこそ正々堂々と知恵比べでロイを倒したのだ。

ということかもしれないけれど、それならばやっぱり、最後のアクションシーンが問題なのだ。

あれだけ優勢なベティが暴力に少しでも訴えられるような隙を作るだろうか? 別にスチュワートは手も足も出せずにやられてよかったし、作中で殺人を犯している以上自身もまた同等の刑を科される展開で良かったと思う。

結局暴力で倒してるやないけ、と。

中盤の偽回答シーンも視聴直後感想に書いた通りいただけない。

最後にスチュワートが「ドイツでのミスはすまなかった」といったがどういうミスなんだあれは? 作り手側もあそこでいったん謎が解決された封を装って視聴者を目くらまさないとさすがにタネが割れすぎると思ったのだろうが、スチュアートが真相の一端を明かしてしまう理由がわからないので「ミス」というマジックワードでごまかされているようにしか思えない。

ベティの孫(のふりをしていた)スチュワートが中盤、ロイが第二次大戦中ドイツ軍の兵士であり、どさくさに紛れて死者の名義を盗んで戦争責任を逃れたことが明かされる。

そこで、なるほど、ロイの秘密はそれだったのか、と一応回答めいたものを用意して我々視聴者を目くらまししようという判断だったのかもしれないがそうはいかないぜ。

だって、スチュワートがベティの協力者であることは結構序盤から読めるんだもん。

なぜなら、極悪人のロイが最終的に勝利を収めるような話をこのランクの映画で展開するわけがないからだ。

ベティが勝つ。とすると、スチュワートは協力者だ。それは前提なのである。

だとすると、スチュワートとベティ、意思疎通ができてないにもほどがあるじゃろがい!!

ベティはスチュワートにどれだけ自分のことを明かしていたのかは最後まで明かされない。

しかし、このミスを見るとなんにも報連相がなされていなかったことになる。だとすると、スチュワートが協力する義理はない。

混乱、混乱、混乱だ。

ただ、この映画原作小説(ニコラス・サール『老いたる詐欺師』(2016))がある。そちらでは納得いくような説明がされている可能性もなかなか高いと思う。

良かった点:ロマンチックな終わり方

終わり方が好きだ。

犯罪計画を終え、本当の家族やスチュアートらとランチパーティを楽しむベティ。

孫たちは湖で水遊びをしている。

「あんまり遠くへ行っちゃだめよ! ……思ったより深いわ」

そういって遠くを見つめるベティ…。

これ。

ベタながら哀愁漂うエンドであり、ここからベティがスチュワートを最初からボコらなかった理由も何となく察せられる。

というのも作中のキーワードの一つがロイが好きでもないベティに体目当てに告げた「君を深く想っている」だからだ。

結局それは体目当ての嘘っぱちだったわけだが、そもそもロイにあこがれていたベティはそれこそ「思ったより深く想っていた」んやなあ。

こういうロマンチックを求めて劇場に足を運んだらコンゲームだったわけで、俺的にはこのシーンが一番琴線に響いた。

とはいえ、だとするとやはり以下の問題が気になる。

それもこれも愛憎あい半ばということかもしれないが、それならばベティが過去レイプにあった描写はちょっと倫理的に気持ち悪い感じがする。でもその気持ち悪さとか露悪的な感じがイギリス流のえぐいうまみなのかも。

まあ別にありうる話なんだけど、それでも「レイプされても家を滅亡させられても完全に嫌いになれない」というのはなんかいやだなあ。別に合意の上での行為で良かったと思うのよ。

家自体への攻撃はベティ単体を傷つけることではないから。ベティが直接性暴力を受けといてちょっと情を残すっていうのはあんまいい話に思えない。

悪人大勝利やんけと感じる。

だとするとそういうオチではなかったのか……?

でもそうすると、ベティの妙な手加減(命まで取る気はなかった)とか、オチの意味深なセリフの重ね(翻訳家は工夫しただろう)が浮いてしまうしなあ。

まとめ:70点

話運びに納得いかない部分が多かったので、減点しやすかった。

俺は減点するために映画を見ているのだろうかと恥ずかしい気持ちになるが、点をつけないとなんかまとめた気にならないんだからしょうがない。

a little good liar くらいだったかな。

 

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