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マイルス・デイビス: クールの誕生──90点 ザ・天才躁鬱性欲天災

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マイルス・デイビス: クールの誕生──90点 ザ・天才躁鬱性欲天災

マイルス・デイビスの人生を振り返るドキュメンタリーを映画館で見た。

ザ・天才の映画だった。

マイルス・デイビス: クールの誕生

躁鬱破綻者けど天才の典型みたいな人間だなと思った。
ジャズのドキュメンタリーはなぜかついつい見に行ってしまう。
全然普段聞かないし造詣も浅いのに。
映像とともに見ることに適している音楽なのだジャズは

正直言って難もなしで聴くには長い。

終わってからアルバム聴いていたけど一曲20分単位がざらである。

誰が楽しむんや。

しかし、映像とともに聴くとどうだろうか。

一番かっこいい。

日本映画のサントラによくジャズっぽいのが使われてるけどあれはカッコ悪い。

映画『セッション』もストーリーというよりジャズがかっこいいからあんなに受けたんだと思う。

あんなかっこいいジャズをやるやつがパワハラじじいというのが面白いのだ。

 

なんか、人がいっぱいいて、モノクロで、全員俺はかなりヒップだぜという顔をしていて、かっこいい。

この「ヒップ」という表現黒人ミュージシャンがめちゃくちゃ使う。たぶんヒップホップのヒップもこれだろう。

ミューズ(女神)と出会い、音楽的達成を成し遂げて結果を出しては、退屈からコカインに手を出して身を持ち崩し暴力をふるって女に逃げられる。
好き嫌いが激しくて嫌いなやつはずっと嫌い、好きなやつはずっと好き。

本当にさしたるきっかけもなく成功してちょっと燃え尽きたらコカインをやる。

天才じゃないけどコカインをやらない俺たちはもっと褒められてしかるべきではないか。

しかし、フラメンコを即座に取り入れたりとかタブラとシタールを連れてきたりとか電子音楽に興味を抱いたりとか、年食ってからも興味の幅が異常者のそれである。

嫉妬心が強くて嫁はんにまで嫉妬したとか、まるで手塚治虫みたいやね。
何でもやっちゃう天才の典型例としてのそれ。

手塚治虫は別に嫁はんに嫉妬してはないけど、若手漫画家に嫉妬してイヤミを言ったエピソードや担当編集者へのワガママエピソードには事欠かない。

マイルスは民族音楽にもフュージョンにもハウスにもロックにもヒップホップにも先鞭をつけた。

でも、フリージャズには批判的だったという(Wikipedia調べ)。

嫁はんのフランシスはそっちはそっちでウエストサイドストーリーの舞台に出るチャンスをふいにしなければもっと大成した才人だと思う。そういう意味ではマイルスは罪深いね。

この嫁、フランシスが「私は世界一の美脚だった」「私に声をかけない男はいなかった」とデヴィ婦人(現在炎上中)くらい高飛車なのだが、不思議に面白い。多分こいついい女だわという感じがする。

 

しかし、満ち足りていて幸せだった時間は少なかったかも。やっぱ天才じゃなくてよかったわ

前半の「爆弾が2つ落ちたの。原爆と解放よ」みたいなこというおばさんからはなんか戦勝国のおごりを感じたな。まあ字義通りの意味であってニュアンスを悪くとっているからかもだけど。

マイルスも「俺は腕が良ければ肌が緑色の奴とでもプレイするぜ」といった豪快エピソードで知られるが、それの反面若いときに孕ませた家族を捨てたりしっかり天才の畜生行為を履修している。

 

 

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