info@junglegenre.com

Mrs.GreenApple Arena Show『Utopia』の感想

フリー芸人ジャングル系のサイトです

Mrs.GreenApple Arena Show『Utopia』の感想

white clouds and blue sky

Mrs.GreenApple1年8か月ぶり・フェーズ2初のライブイベント『Unity』を映画館で見た。

当日の昼に映画館の情報を調べる(毎日1度HP訪問している)と、1席だけ空いており、

それならばとネット予約して最前列A24の席を確保した。

この経緯からもわかる通り、俺は熱心なファンではない(ファン活動は金がかかるから嫌いだ)。

むしろ、音源ではミセスの事が大好きなのだが、「ライブはそんなに良くないんじゃないか」と舐め腐っていた。

その感想は、間違っていた。

19:00-19:40:フェーズ1から選曲と俺の邪推&排尿

ライブの開催は19:00から。TOHOシネマズスクリーン9の客層は基本的には若く、またバンドTや派手な髪形などのいわゆるフェス勢は少ない。男女比はやや女子が多いが、まあ6:4~7:3くらいであろう。

待機時間にはいわゆる水の流れる音や小鳥のさえずりが流れている。

また、来場特典としてもらったファイルは、ピンクの宮殿に黄金の葉をつけるリンゴの木が生えている様子が。

前回のArenaツアーのタイトルは『eden no sono』だった。で、今回が『Utopia』。

神話的モチーフをバンドが用いるというのは、どちらかと言えばオールディーズなロックとかヘアメタルとかのイメージなのだけど、そこを無邪気にJPOPの市場で若者の支持を得るバンドがやる、というのはストレートに中二病に刺さるからやってるだけな気もするし、ライブイベントがある種呪術的なイベントであることに自覚的だから、という気もする。また、ある疑惑の材料の一つともなるかもしれない。

ステージは3時間を予定されている。

催して、トイレに駆け込み、小走りで戻ってくると、ちょうど客電が暗くなり、始まった。

──『Attitude』だ。

フェーズ1の締めくくり、5枚目のstudioアルバムのリード曲であり1曲目。

嵐のニノがカバー。

フェーズ2の幕開け曲『ニュー・マイ・ノーマル』で始まるのではないかと事前に予想していたが、それは裏切られた。

なぜなら、このライブは、フェーズ2の幕開けだからである。Attitudeはポップスターとしての苦悩と姿勢を歌うかなりフェーズ1の集大成的な曲だったので、意外だった。

2曲目『CHEERS』、3曲目『L.P』。フェーズ1終盤の一曲から、インディーズ時代のE.Pの曲へ。

『L.P』については大森元貴(ボーカルの人)が「嫌い」だと公言しているとどこかで見た気がしていたので意外だった。定番なのだろうか。まあ、この「嫌い」情報も5ちゃんとかで見た可能性があるし、定かではない。また、嫌いな曲をする性癖なのかもしれないし、嫌いが好きに変わったのかもしれない。

ここで、MCへ。

俺はライブの楽しみの4割くらいがMCで、MCがなくてずっと演奏だけのバンドなどは結構白けてしまうか疲れてしまう。かといって、MCで変に身内ノリを出されたりガンガンあおられたりするのも嫌だ。

わがままな客である。

結果として、全体を通して、かなり優等生なMCだった。

基本的なメッセージは「みんなありがとう」でそれに観客は拍手でうんうん。

ライブ興業を見に来ている「客」との距離感としてヒジョーに好ましかった。

ただ、例えばサンボマスターに「あんたがた!」と言われたときのような、峯田和伸(銀杏ボーイズ)に東北なまりで訴えかけられたときのような(バンドっぽいあれを見てる~~)という感じはない。テン年代以降のバンドはだいたいそうだ。

バンドマンはカリスマなのだ、という幻想が崩れサブくなってしまった後。

そりゃそうなるんだけど、あんた天才なんだからもっと舞台上で偉そうにしてもええんやで、と思う。

5曲目はメジャーデビューシングル『StaRt』、6曲目はメジャーデビュー前の『道徳と皿』。

まだ、フェーズ1初期のにおいが残る。

続いて、7曲目『PRESENT』。ここで俺は小水を催してしまい、帰ってきたときにはEnglish.verから日本語に変わっていた。フェーズ1の終盤にリリースされたこの楽曲、ユニバーサルミュージックとの契約などを踏まえると、俺はフェーズ1→フェーズ2への移行でミセスは世界市場に打って出て「BTS」を目指そうとしてたんじゃないか、と邪推している。

例えば、パスピエなんかも楽曲のEnglish.verを出して、世界進出を狙って、失敗していたな。

ミセスの足を引っ張ったのは、コロナであり、またドラマー、ベーシストの脱退が生じたのも世界市場のアジャスト(のための脱バンド化、要求水準の変化)があったのではないかと邪推しているのだが、正直ファンクラブにも入っていないし、そのあたりの真相は知らない。

チンギスハン=源義経説くらいの信ぴょう性だと思ってほしい。

8曲目、Attitudeより『嘘じゃないよ』で第1コーナーは終了。

19:41-20:10 女キャーキャー言わせない感と大森元貴=ブレンドン・ユーリー説

メンバー・サポートの紹介を経て、第二コーナーへ。

サポートベースはSALOVERSを経て結成された、2世なのに野良感のある古舘祐太郎率いるThe2の人。

サポートドラムは元々ダンサー。もともとは「ミセスのファンだった」と話す。

この2人は終焉後、肩を組んでおどけて退場するのだが、そのあたりの「陽」だけど「強くない」感が良くも悪くもミセスを規定しているよなあと思う。それは、ものすごく心地よいユートピア感の源泉でもあるし、イマイチ業界認められ感や女キャーキャー言わせ感が足りない理由でもある。

9曲目『In the Morning』。メジャーデビュー後のシングルの中では地味目な印象だったが、ライブで見るとよい。10曲目『ブルーアンビエンス(Feat.asmi)』。ここでついにフェーズ2の曲が登場する。ついでに『点描の歌』もやらねえかな、と思ったが、それはなし。まあ、仁義というか、井上苑子のやつやしな。

11曲目『月とアネモネ』。カップリング。でもなんとなくライブでよく披露されている印象がある。アッパーな楽曲とのバランスを取る意味で使い勝手が良いのだろうか。それとも単に人気なのだろうか。

12曲目『延々』。『炎炎の消防隊』の曲。Spotifyの日本楽曲海外再生数ランキングを見るとアニメが席巻しており、多分海外需要的にも16曲目で披露する『インフェルノ』が強い。『延々』もそうなることであろう。曲調が激しいこともあり、ライブで非常に盛り上がった。

13曲目『君を知らない』。『Unity』のアルバム曲。

MCで休止期間の話を。俺は「ミセスって2人脱退しても結局曲にダメージはなかったよな、結局ソロプロジェクト的な要素が強くてバンドか?みたいなやつが好きなんだな(自分は)」と捉えていたが、ライブで見るに当たり前だけどギターもキーボードもうまかった。つい先日見た秋山黄色のサポートメンバーと比べても、生音感がありつつ、同期の上でも安定していたと思う。それは、機材とかホールの録音の仕様とかもでかい気がするが。

この彼らも結構MCで役割を持っていて、バンドとして立たせようみたいな意識が大森元貴にはあるのだなと思う。前、Nico Touches the Wallsのボーカルが「バンドは全員作曲できないとだめだ」と言って、元は自分しかしていなかったのを変えたと話していた。それを思い出した。まあ、作曲は大森しかしていないし、NIcoは解散したのだが。『愛情と矛先』をリリースした当たりのインタビューで大森が「今回のソロは若井(ギター)と藤澤(キーボード)に任せました」と話していて、「こんな10代のやつがやっぱり全権握ってるのか…」と恐ろしくなったのだけど、結局その2人が残っている。

14曲目『僕のこと』。高校サッカーのテーマソングになったやつ。15曲目『青と夏』、16曲目『インフェルノ』とここから再生回数億越えの人気曲で終盤にかけて盛り上げようという流れ。からの、17曲目『うブ』。打ち込み、4つ打ち、ボコーダー。ほかに比べて代表曲、という立ち位置でもないわけで、ライブ盛り上げを意図してとして作られたことがよくわかる。18曲目『ロマンチシズム』。バックスクリーンに町が流れ、大森が歌う床も時折動く。ここまでの大仕掛けができるのは、やっぱり普通の「売れた」を超えたマーケットを獲得しているからだよなあと思う。ただ、それにしては『King Gnu』『ヒゲダン』みたいな時代を代表するバンドという扱いが足りない。その理由は、女キャーキャー言わせ感、あるいは音楽業界関係者認められ感が足りないからで、メンバーが恋愛スキャンダルを起こすかなんかしたらまた次の「フェーズ」が見えてくる気がするのだがそれはどうかね。

19曲目『ダンスホール』。ここで、真っ白なスーツに眼鏡をかけて笑顔を貼り付けた相席スタート山添×4みたいな男たちが出てきて、MVを踏襲した踊りを披露する。同時に、大森も踊る。「おいおい、おちんちんワールドやんけ」、とおもったら、女ダンサーも同数、同じ服装で舞台に現れていた。

このあたりのユニセックス感、そして派手な髪色や服装含めた語弊を恐れず言えば「クィア感」が、ミセスの可能性でもあり、女キャーキャー言わせない理由でもある。

でも、BTSは女キャーキャー言わせとるな。。

海外ミュージシャンで言うと『Panic! At the Disco』をものすごくミセスの楽曲やライブからは感じる。

ラスベガスへの憧憬やディズニーとのコラボ含め、ものすごく0~テン年代の残り香を感じさせるのがP!ATDだ。

要するに、大森元貴はブレンドン・ユーリーだといいたい。

19:41-22:30「ニュー・マイ・ノーマル」のはじまり

「終わりが近づいてきたみたいですよ」

最後のMCで脱退について語られ、大森はじめメンバーは声を詰まらせる。「世界進出のためだろ」と俺が邪推するフェーズ1終了と活動休止だが、「もっと単純に多忙で休みたかったとかあるのかな」と純粋に思わされるし、「ステージで初めて泣けた……」と話す大森に映画館の湿度も高まる。

「僕たちの青春ソングです」と演奏された20曲目『シアター』は、そんなに好きな曲でもなかったのだが、やはり特別に響く。

そして、21曲目『Part of me』。『Unity』締めくくりの曲で、いったんショーは幕を閉じる。歌手としての大森の表現力が惜しげもなく発揮され、関係者席にいたしらスタのおしらもさぞ感じ入ったであろう。

当然、アンコールはある。

アンコールはあった方がいい。ビジュアル系バンドSOPHIAには以下のような逸話もあるが、それをやってバリューを発揮できるのは一組目だけである。一回の公演で5回くらいアンコールがあっても良いくらい、俺はアンコールが好きだ(といいつつ、ほかの人が手を叩き始めるまで眺めているだけ。今回は映画館なのでそれすらしない)。

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/SOPHIA_(%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89)

アンコール1曲目は『愛情と矛先』。メジャーデビューフルアルバム『12』の一曲目である。

そして、11月からのツアーが発表され締めくくりが『ニュー・マイ・ノーマル』。

はじまり(という楽曲もあるのでややこしい)がラストに持ってこられるという構成であった。

すなわち、ここからフェーズ2のスタートということである。

結局、なんでライブが予想に反してよかったと感じられたかというと、「楽曲が好きで、歌も演奏もうめかったから」に尽きる。

「Mrs」が連想させるのは「Mr.Children」で「青りんご」が象徴するのは「アップル・レコード(ビートルズ)」だ。

その”50代おじさんが考えた最強バンド名感”も含めて、日本JPOP界の粋を尽くして培養されたバンドではないかとこれまた陰謀論を抱いてもいたのだが、まあ、別にそれでもいいや。

あんたら最高だよ!