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映画『パリ13区』ネタバレ感想 前半とラストと『偶然と想像』 

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映画『パリ13区』ネタバレ感想 前半とラストと『偶然と想像』 

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映画『パリ13区』は、70代のジャック・オディアール監督が撮影した白黒恋愛映画。

共同脚本に『燃ゆる女の肖像』(感想はこちら)の、セリーヌ・シアマがいることで話題に。

原作はバンド・デシネ(フランスのコミック)。『アンバー・スウィート』『キリング・アンド・ダイング』『バカンスはハワイへ』エイドリアン・トミネ著

パリとパリの恋愛が好きだ。俺はちょっと外国かぶれなのだ。
舶来品の恋愛をありがたがってしまう性向を持っているのだ。
片思いとか未練とかよりも、モテて仕方ないぜとか、でも満たされないとか、そういう強者のファンタジーに惹かれてしまう。
恋愛から距離がありすぎて、そっちの方が俺にとってのリアルになってしまったパターンだ。
それはともかく、そこそこ痛々しいところもある恋愛映画なのだけど、これはよかった。
まあなんて言いつつ、『愛がなんだ』とか『花束みたいな恋だった』も面白く見た経験があるので、単に恋愛ものが好きなんかもしれない。
なんか、余裕がある人間の娯楽やからね。恋愛なんて。
辛気臭い話よりそっちの方がええねんや、ウチ。

前半とラスト、ええやん、ええやん。

後半ちょっとだれたけど、かなり好きだった。
『偶然と想像』に似てる気がした。というか、短編集だと誤解していたのだ。実際は1本のラブストーリーで、わかりやすく途中で2部に切り替わるだけだ。
そうか、かなりわかりやすく3幕構成なんだ。
モノクロだし、アートっぽい雰囲気を纏っているけど脚本とか話運びはかなりオーセンティックで普通に映画好きな奴がみるいい映画だった。

普通に映画好きな奴がどういうやつかもわからないが、まあ、名画座とかがギリあった団塊~団塊ジュニア世代の映画好きが、「うん、いいね」と言いそうな作品だということである。

『偶然と想像』との類似点

そうそう、なぜ『偶然と想像』に似ているかというと、

一、性格の悪い女と、その女に好かれるモテる男と別の女の3角関係の話で、性格の悪い女が主人公
二、アラサーになってから大学に入りなおした女が、性的な事件に巻き込まれる

から。

要するに、『魔法(よりももっと不確か)』と『扉は明けたままで』とちょっと通ずる要素があったということである。昨年12月に見た映画なのにまだタイトルを諳んじられるのだから、あまり俺はハマらなかったが言葉の力はやはりすごいのかもしれない。

ただ、こちらはあくまで一本の劇映画であり、展開なども結構ベタ。
最初に述べた通り、ザ・三幕構成だったことに思い返せば気づく。
じゃーどっちが好きかというと、俺はこっち。
ちょっと感性がおじいさんなのだ。

クラブシーンは2度出てくる

俺は濱口監督の『寝ても覚めても』は見ていないが、どうもその中のクラブシーンはクラブに行ってないやつのそれだと聞いた。俺もクラブに行ったことが一度しかなく、そういう文化がわからない。『パリ13区』のクラブシーンはどうなのだろう。

メインキャラの女2人はいずれも一度ずつ、クラブに行くシーンが出てくる。

一、MDMAを取り込む
二、ポルノ女優と間違えられる

『燃ゆる女の肖像』も女2人の話だった。火のような女と、エロく抑制的な女という意味では共通しているかもしれない。ただし、本作では間に男のいる、三角関係の話だ。

監督の年齢とか考えると、昔通ったディスコのイメージで撮ったんちゃうんかと疑いたくなるが、何にも言えない。俺が見る限りはうるさくて、あんまりおもんなさそうで、若者だらけで、犯罪と性へのゲートウェイとなりがちな、クラブのイメージには合致していた。
でも、コロナ禍でそういうのががっつり変化したこととか、もっとゆったり音楽を聴くタイプのクラブがあることなども知ってはいるのだ。
半裸でポルノを見ていた大学生はいったいどういう了見だったんだ?

そして、存外ストレートに、「○○」という言葉で映画は締めくくられる。

「オイオイ、思った以上にベタなところに落としてきたなー」とあきれながらも、痛快だった。結局ここに辿り着くために、映画を見取るとこあるやろ。

サントラが抜群に良かった。帰りに聞きながら仙台の街を歩いた。

ここまで書いたら賢明な読者にはわかってしまうだろうなーと思う。
それでも伏せておきたいくらいベタなセリフである。
でも、これは監督が70代な部分が出たな、という気もするが。
ん?でも、70代と言ったらアメリカンニューシネマがっつり世代だろうし、ハッピーエンドはどっちかと言えばダサい感覚があるはず。
とすると、かなりやっぱり現代の話にできていたということか。
海外のじじい監督はすごい。

俺は『Caravan Place』とか、フレンチエレクトロっぽいやつに弱い。これもちょっとおじいさんな感覚だろうか。