info@junglegenre.com

映画『ラストナイト・イン・ソーホー』ネタバレ感想 85点「エドガーライトのダサさを愛せるか」

フリー芸人ジャングル系のサイトです

映画『ラストナイト・イン・ソーホー』ネタバレ感想 85点「エドガーライトのダサさを愛せるか」

『ショーンオブザデッド』『ベイビードライバー』などでおなじみのエロがーライト監督による、映画『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)のネタバレ感想です。

まだ見ていない人はお気を付けください。

↓公式サイト

https://lnis.jp/

見た直後の感想

ベイビードライバーの時も思ったけどエドガー・ライトってどっちかといえばセンスはダサいねんけど愛すべき映画を撮るタイプだと思う。と思ってフィルモグラフィを見たら普通にコメディ出身だし、そらそうか。
お化けの怖がらせ方とかもうホーンテッドマンションではっきりって、全然怖くはない。ディズニーレベル。モノクロの幽霊のイメージって日本でいうと落ち武者みたいなことなんだろうか。大家に昔の人の写真ってちょっと不気味に思えるときもあるけど、映画で見せられて真正面から怖いとは俺がイギリス人でも思わないと思う。

過去に思いを馳せて実際に迷い込んでしまう陰キャ主人公というのは『ミッドナイトインパリ』と相似形で、それによりジャンル映画的なアプローチをかけ合わせた感じでもある。結果として過去に迷い込んでいたというわけではなくサイコメトラー体験をしていただけだった。要するに描き方を抜きにすれば古典的な「いわくつき屋敷ものホラー」である。

それをネオンカラーのエモい画面とトーマシン・マッケンジーのキュートさでポップにしたから、みんなみに行っちゃってる。素材が古くても味付けとか匂い付けでそれなりに流行っちゃったりもする。フルーツサンドとか、純喫茶をちょっと今風にしてはやらしている店が映画ならこんな感じなのかもしれない。

もとのルームメイト、ジョカスタがいじわるで、レトロ趣味のサブカル女子である主人公からすれば敵役である。しかし、性に奔放で主張が強いという意味でサンディとジョカスタは重なるところがある。だからこそ、現代の彼女との関係性の変遷が描けたらもう少しmeeto的な文脈とか、陰キャと陽キャの対立的な部分も含めて話がうまくまとまった気がする。
今回は最後になんか拍手していたけど、別にエリーがとち狂って刺し殺しそうになっただけで彼女との間にドラマはない
ジョンもちょっと寛容すぎて、マイノリティかつ男はひたすら善人にしとけばええんや的な安易さを感じた。お助けキャラから一歩外へ出れていない。
ふたを開くと思ったよりも小さめの中身だったという感じで拍子抜けなのがやや残念。ただ、なぞの「映画を見てるぞ……!」というワクワク感は確かにある。その意味でエドガーライトファンがたくさんいるのもわかるのだ。

https://filmarks.com/movies/83173/reviews/124357584より

偏見交じりのあらすじ(間違いだらけの文字ファスト映画)

サイコメトラー能力を持つ主人公、エリー(エロイーズ)! お母さんが7歳のころに自殺してしまった。その李通は、わたしのこの「死んだ人の記憶」が見れる能力のせいみたい!でも、60年代のファッションが大好き! おばあさんと一緒に住んで時は流れ、私、ロンドンのファッションスクールに合格したの!

でも、最悪!ロンドンのタクシーでは運転手にセクハラされるし、ルームメイトはビッチなうえにいじめっ子。私は寮に居場所を亡くして、引っ越した。そこの主人はおばあさんで2階の部屋を貸してくれるという。アンティーク趣味で私のテンションも高まった!

その夜、見たのは60年代の景色。一人の女の子が歌手を目指して、名門「カフェ・ド・パリ」の門をたたくの!そこのジゴロの男に気に入られて、次の日にはベッドイン! 『カフェ・ド・パリ』には遠く及ばないけれど、デビューの場も用意してもらえたわ。その姿を見て私、インスピレーションが湧いてきた!彼女のドレスを再現しようとしたら先生もほめてくれたし、髪形を彼女とおんなじにもした。ジョンって黒人の男の子は私が気になるみたい!

でも、だんだんと雲行きが怪しくなってきた……。ジゴロの男は実は悪い人間だったみたいなの。場末の店で猥雑なショーをさせられて、枕営業も強要される彼女……。私の現実からもそのイメージが離れない。ロンドンは恐ろしい街!!

今の感想

あんまり高級な映画ではないのだ。

そこに無理やりmetoo的な文脈をぶち込んできているのは正直言って辟易したが、それを勝手に読み取る観客が悪いといわれればそうである。

ホラーとしては当然ぬるい。昔の人なんか全然怖くないぞ。

だからどういうジャンルの話やねんみたいな、徹底しなさが気持ち悪く感じてしまうのだが、そのどっちつかずさがエドガーライトの映画を他のどれでもない「映画」としか言いようのないものにしている気もする。

オリジナリティってやっぱり面白さをパワーが減じるパワーがあるのかもしれない。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。