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『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』感想── 84点 『ブックスマート』と並べてやや古く感じた

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『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』感想── 84点 『ブックスマート』と並べてやや古く感じた

Netflix配信青春映画『ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから』を見た。青春映画豊作の年2020年において『ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー』と並んで評価を得ていた本作。

あなたはどちらが好きだろうか?

「ハーフ・オブ・イット」のStory

田舎町で父と二人暮らしの主人公エリーチュー(リーア・ルイス)。成績優秀な彼女はクラスメイトの宿題代行で日銭を稼ぎ、孤独な毎日を過ごしていた。先生からその優秀さに目をつけられ、大学進学を進められるものの、地元に残ろうと考えていたエリー。ある日、アメフト部員のポール(ダニエル・ディーマー)からいつも本を読んでいる美女、アスター(アレクシス・レミール)へのラブレターを代筆してほしいと頼まれ、しぶしぶ了承することになるが……

全体感想:ちょっといい子過ぎんねん

映画秘宝の年間ベストに入れている人が多いのでみた。
『ブックスマート』と比較する人の多い本作。『ブックスマート』をそこまで手放しで絶賛できなかった俺はこっち派になるんだろうなあと思ったが、意外や意外、『ブックスマート』派でした。
これは多分、都会が好きか田舎が好きか、という問題なのだと思う。
俺は都会派。

基本的には高校生なんかセックスかエゴのことばっか考えているという前提で考えたい。

俺が『ブックスマート』派なのは、まだしもそっちよりだからだ。

一方、『ハーフオブイット』の登場人物はそうではない。

ポールもアスターに「別人の手紙で近寄る」というゲスなことやってるのに、キスまでさらっと初デートでかましてそっから先に進みたいとか、「アメフト部の他の奴らはしゃぶらしてやがるのにクソ!」とかそういう気配を毛ほども出さない。

料理が趣味で、バカだけど優しくて、最近の女性漫画(いうてこの分野には入門すらしていないので半可通未満の印象論だが)に出てくるツゴウノイイ子犬系男子の体現のような人物である。

そのくせ、(これは重大なネタバレなのだが)アメフト部のロッカールームにやってきたエリーの唇を奪ったりする(チューにチュウ……)。あほか!

行動がヤリチンなのに精神は清廉という何とも共感しずらい人物だ。こういう現代のポリコレ感覚に照らしたイデア的なキャラクター設定が俺は好きではない。告解室勝手に使っちゃうとか、やることはナチュラルにDQNなんだよなー。

全体的に映画としてこじんまりした印象でもうちょっとエッジやエクストリーム感が欲しかったというのが正直なところ。結局エリーとポールとアスターの奇妙な三角関係・友情の話というだけで、ほかの生徒に対しては閉じている。お調子者の同級生はプロポーズして恥をかかされただけだ。それなら、曲がりなりにもクラス一人一人に思うところはあると描いて幕を閉じた『ブックスマート』の方が現代的ではないか。

エリーは貧乏じゃなかったの?

『ブックスマート』の終わり方についてはアトロクでもおなじみの三角締め氏が「大学進学を前提としたラストのスピーチにむかついた」という話をしていて、それには確かに首肯したのだ。で、本作は大学進学に金銭面などの事情もありつつ、消極的なエリーが主人公なのでその意味でカウンターとなるような映画ではないかと思ったのだけれど、そうではなかったことは以下感想の通りである。

結局、エリーの貧乏設定はどうなったのか。英語が話せず出世コースから外れたおやじに寄り添わないといけないと思っていただけで、別に大学に金銭的な理由で通えないわけではなかったのか。そこらへんの事情が分かりづらかった。

結局エリーは母を亡くして英語も話せず出世コースから外れた父親に寄り添わねばならないと思っていただけで、そのあたりがポールやアスターの交流によって解き放たれたのが実際のところだった。

まあ、ええ家住んでたからね……。

そもそも最初の時点でエリーに友達が全然いないのも不自然だ。ポールに対人テクニックを教えるくらいコミュ力あるんやったら(中盤、ピンポンに例えてアスターとの会話術を教えるシーンがある)お前クラスでもブレインに甘んじる器じゃないだろ!!

この辺り、おとぎ話感が強くて、「こんなんあるか!」と能力不足故青春未達事項満載人間の怒りを誘うのだった。

ラスト付近はそら泣くで

エリーの視界がポール・アスターとの交流で外に向いて、広い世界へ向いたという非常に開けたエンディング、そしてラストの列車追いかけシーンは目じりに涙をにじませることを強制してくる。だから、そこをみんなが絶賛するのはわかる。

俺は友情に弱い。

モテない男にありがちな「恋愛は汚い!」「友情こそ純粋!」という深層心理が染みついているからだ。

『ブックスマート』も『ハーフオブイット』もラストは、長い時を過ごした2人の別れである。青春映画の王道はそれだろう。

ただし、『ブックスマート』は飛行機、『ハーフオブイット』は電車で別れる。そのあたりも両作品の違いを表しているなと思う。よう考えたら電車の距離は結構頻繁に会えるからね。また、『ブックスマート』は結末にもう一つひねりを加えてある。そういう意味でも、そちらの方が上手だと俺は感じたなあ。

いかん、また文句になっている。中盤の音楽発表会のシーンもよかった。ピアノの点検ぐらい先にしときなさいよとも思うんだけど、でも歌の力にも俺は弱いのだ。

最後にもっかい設定に文句言う

そもそも、設定に文句をつけるのは野暮だが、ラブレターって今時どうなん。あえてにしても箪笥臭がひどくないか。カズオ・イシグロで趣味を分かり合うっていうのもなんかダサい感じがする。まあ、あの学校、ポールが一回強豪校からタッチダウンとっただけで横断幕はるくらいの弱小なわけで、ほんとに地に足の着いた集団ということかもしれない。だとすれば、まあ、金持ち集団の話である『ブックスマート』と比して好感が持てる部分ではあるのだが……。

ケド、やっぱちょっと、昔のすごくいい映画って感じで、現代のモードからすると一味足りなく感じたなあ。

 

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