mid90s──94点 ミレニアム世代のスタンド・バイ・ミー
『スーパー・バッド 童貞ウォーズ』の主演などで知られるジョナヒルが監督・脚本を手掛け、自らが子供時代を過ごした90年代半ばを描いたmid90sを見た。
思ったよりだいぶ良かった。どうせ思い出映画やろと思っていたが、ミレニアム世代のスタンド・バイ・ミーだった。
見た直後の感想を振り返る(れ)
思った2.7倍よかった。
なんだろう?こういう不良性と無縁な人生を歩んできたからこそ、憧憬とともに刺さったのかな。。。
日本の不良はダサいけどアメリカのスラムはカッコよく見える。
距離が遠いからだ。
よく知らないので馬鹿なことをしていてもなんか途方もない貧困や痛みが背景にあるんやろな―と情状酌量してしまう。
日本でも西成とか川崎とかはそういう土地としてやや扱われつつある向きがある。
まあ、街にあんな奴らいたら嫌だし避けて通る。
でも、映画で見ると最高だよなー、レイとか。
マッチョにあこがれる馬鹿な子供時代を良い点・悪い点含め思い出として描くこの映画に対して、ずっと「あーいいなーこんな堕落した友情はいいよなあ」と思っていた。
俺は全然友達と遊ばない割に架空の友情に弱い。
全然モテないし恋愛もしないのにおしゃれなイタリアンロマコメとか好きだし、それが手元にないからこそ、苦みとか嘘くささを感じずに、純粋に気持ちいい部分だけを楽しめるんかもな。
そう、それもある。
やっぱり人の世話はめんどくさい。
この映画でも「このおかげでこいつに好かれたけどそのせいで今まで仲良かったこいつからは嫌われちゃったな―」という気まずさがあるのだが、それは現実ではもっと複雑でその後は「Aに気を使いつつBにも気を遣うことが常に求められるわずらわしさ」を感じることになる。
人間はしんどい。つらい。面倒くさい。
小社会は。
不満を言えば、ルーベンにスティーヴィーがいじめられる下りが、特に嫌な感じに具体的に描かれていなかったことが挙げられる。「なんか嫌われてるなー」と思わされる程度というか。。
もっと小突かれたりとかパシられたりする描写もあった方がリアルじゃないかな。フォース・グレードがほんとに“あの頃”の洋楽ジャケのカートゥーンの絵のやつが飛び出してきたまんまの顔なのもよかった。それぞれの過程の事情はほぼ描かれず、スティーヴィーの主観でずっと話が進むのも、まああれだけの友情があってもそれはその場でのつながりでもあるんだよなあと思ってリアルに感じられる。
引用元:https://www.pngegg.com/en/png-ywpgo
フォース・グレードは言うたらこんな顔である。
さっきの、映画ならではの制約でそこまでリアルでない部分とは違い、それぞれの内容にあまり踏み込まないというのは映画の制約と合致したリアルだ。
友だちなのに、全員の事情をよく知らない。
やっぱり16から免許もてるっていうのがでかいわなあアメリカさんよ。
もし自動運転車が当たり前となり、子供も車に乗れるようになったら今後の状況とかドラマの描かれ方も大きく変わるのだろうね。
あれだけおかんに怒られたスティーヴィーがそれでもほっつき歩いて遊べるのは、なんかそぐわなくないか?とも感じたけどまあシングルマザーだし最終的にあの子たちを包摂するくらいの脛傷をママも持っているよということなのかな。道で気圧されたスラムの仲間がスティーヴィーの枕元に来ると聞いて立ち去った時の兄貴の感情はどんなものだったんだろう?
そこもワンカットくらいあってもよかったかも。
結局ああやって道でぶつかったやつにすごむようなようもないやつらなんだよということが描かれていたのは良かった。
しょうもないやつらなんだけど、じゃあ本当にしっかりしているやつらとなんかいたくない。
そういう奴らとだけ付き合っていればいい、と結論付けた時、何かを裏切ることになるし、自分の中の何かが終わるのだ。
その何かが、「子供時代」ということかもしれない。
かもしれない運転。
ジャングル系のパッションあふれるツッコミ。
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