『ドント・ブリーズ』感想──81点 バカ! といいつつ佳作
盲目の老人の家に押し入った3人の強盗が返り討ちにあっちゃう系スリラー映画『ドント・ブリーズ』をNetflixで見た。
『イット・フォローズ』とかと並んで評価されていた覚えがある。『イットフォローズ』も「バカな映画だなー」と思っていたのだが、こちらもバカだった。
いかにも秘宝的だと思う。
前評判をまったく知らずに見たら「掘り出し物だ!」とうれしくなって高い評価をつけてしまうのだろうけれど、ずいぶん期待してみたので「佳作! 90分以内でタイトにまとまっていてえらい!」という感想だった。
同じラインで好きな人のが多そうな、例えば『ゲットアウト』『ミッドサマー』とかは俺の中でこれより一段高い評価になる。
……あれだってそんなに賢い映画ではないと思うんだけど。
怪物が単独でやってきてある程度対処できる系のホラー・スリラーよりも、どうしようもない習俗・<世界>に引き込まれてしまう系のそれの方が俺が好きだという好みの話かもしれない。
<世界>を見せてくれ。
目次
バカな映画だよ!まったく!
思ったよりバカ映画だった。
ドント・ブリーズ(呼吸をするな)っていうタイトルだけど、別に息くらいしてもよさそう。
舐めてた爺が、視覚を失ったことで超聴覚が研ぎ澄まされた軍人でした、ものかと思ったら、普通に馬鹿な泥棒三人組が強い盲目の元軍人爺さんにやられる話だった。
この違い、わかるだろうか?
要するにじいさんが多分普通に目が見えてたらもっと強かっただろうなあという感じなのだ。だから、ハンデつきのゲーム感は否めない。
殺人マシーンオリンピックが開かれたら残念ながらノーマン・ノードストロームは一回戦負けだろう。
特にクライマックスとかロッキーに爺さんがなぶり切られたりする。
中盤まで主役ムーブをかましていたアレックスにもじいさんはやられて、ロッキーの復讐として口内に自身の●●をぶちまけられる。
かわいそう!
じいさんを超人的存在と期待して見に行った俺が悪いのだ。
たぶんもっと、これはかわいらしい手のひらサイズの娯楽中作なのだ。
映画を観る前の姿勢によって全然評価が変わってしまう。
これはお笑いでも音楽でもなんでも同じだけど。
エンタメとは難儀なものだなと思う。
バカな爺だよ!まったく!
後半にそれとはまた違った異常者っぷりが明らかになってきて、スポイトで●●を注入するとか確かにキモ描写ではあるんだけど、よく考えたらレイプするやつより高潔だし、保健体育の知識が不十分でかわいらしい感じもする。
あんなもんで妊娠するわけないやん。
捕まってた女子も別に腹大きくなってなかったし。
……要するにそれも妄想で、爺さんの頭が単純におかしくなってたってこと?
だとしたら全然関係ない女の子を娘として監禁しまくっててしたいがうずたかく積まれているくらいの方がインパクトあるけど、予算の都合でそれは成り立たんかったんかなあ。
じいさんは娘をこしらえるくらいの性経験は果たしてきた人間なわけで、わざわざ粘膜接触を厭がってスポイト人工授精を試みる意味が分からない。
”殺人はするけどレイプはしないという高潔さがいいんじゃないか”ってこと?
それって味方側にはほしい要素だけどホラーモンスターには別にいらんよなあ。
いっそのことじじいは婆に操作されていたとかそのくらいのツイストがあっても良かったかも。
爺は婆に霊的パワーで劣る。
これは宇宙の絶対法則である。
バカなデトロイト市警だよ! まったく!
最期になんとなくロッキーだけ逃げおおせるわけだけど、なぜじいさんはロッキーについて口を割らなかったのか。
それともロッキーがカリフォルニアについた後に事の顛末を明かして彼女は国際指名手配犯となるのか。
あれ?でも監禁されてた娘の死体は結局発見されなかったんだよな。
これについては「ロッキーの存在をばらしたら自分も敵の娘を監禁・殺人したことがばれてしまうからじいさんが隠した」という解説をみた。
確かにそれが正しい答えだと思う。
とはいえ、じいさん、あんなダメージ受けた後に悠長にしたいの隠ぺいしてたんかよ! ていうかあんな事件があったら家じゅう検めるもんなんじゃないの? デトロイト市警のバカ! まったく!
という思いがある。
そのあたり、結構やっぱり詰めがあまい、バカ作品だなあと思うのだ。
- 発売日: 2017/03/03
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